溶ける温度 - Rebirth -

*

美弥との二人女子会の翌日の初出勤は、初めてながら上出来で。
久しぶりの接客仕事だったけれど、特に大きなミスもなく一日を終えた。

真さんは慣れない接客で気を張る私を案じてか、おいしいまかないを無料でくれる。
正社員の仕事にもありつけて、プラスしてご飯とお酒付き。こりゃ美弥もおいしいって騒ぐはずかも。


今まではお客として月に多くて3回ほどしか来たことがなかったから気付かなかったけれど、アヴァンシィは一見さんよりも常連さんの方がはるかに多い。
会社帰りのサラリーマンもくるし、近所の小奇麗な老夫婦もくる。
真さんの人柄も与って、人のいい温かいお客さんが多いようだった。



そうそう。美弥が言ってた、顔と接客態度だけは満点だってことを真さんに伝えると。
軽く頭の後ろをべたに掻いて、分かりやすい照れ隠しをしていた。
それを常連さんに見られていて、また笑われてたっけ。

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