溶ける温度 - Rebirth -
ここで雇ってもらってから早2週間。
アヴァンシィで働く日々は本当に穏やかで、日々忙しくしていた派遣時代とは全く違う毎日。
元彼とのことで傷ついた心をも癒してくれるようだった。
「今日はそろそろ店じまいするかー」
「え?まだ10時前ですよ?」
「もう客も今日はこねぇだろ。ほら、天気も荒れてきたしな」
示されるままドア付近の窓に目を向けると、出勤したときよりもはるかに強い雨が道路を濡らしていた。
確かにこんな悪天候ではよそで飲もうとはならないかもしれない。ましてや今日は水曜日だ。