隣の悪魔はご機嫌ナナメ
そこが一番のなぞだ。
こんなにたくさん人がいるのに、月本さちちゃんはあたしだけを見ていた。
自分のことを知らないであろう、あたしに。
「さあ?まあ気をつけなよ、はる」
「うん?」
「あんな有名人と仲良くなったら、敵が増えるよ」
敵?ああ、さっきみたいな女の子たちのことか。
「うーーん。まあ、大丈夫なんじゃないかな」
「あんたはほんとにアホね」
まあいいけど、と真里が笑った。
うーん、アホじゃないんだけどな。
このときのあたしは、不思議な友達ができた、そんな感覚だった。