隣の悪魔はご機嫌ナナメ
・知りたくなかった「人」
「はる」
とびきり優しい声で、名前を呼ばれる。
目を開けると、肘をついて手で頭を支えた
笑顔の青久があたしを見ていた。
「……ん、青久」
ゴロンと寝返りを打って、青久の胸の中に探りこむ。
昨日から、時間があると言っていた青久はあたしの家に泊まりにきている。
夏休み前だからかな。
夏休みになったらもっと一緒にいられるのかな。
「どうしたの、はる」
「ううん、なんにも」
こうしている時間が、あたしにとって宝物になるんだ、なんて恥ずかしくて言えないけど。