隣の悪魔はご機嫌ナナメ
青久side
「ねえ、どうしたの?」
携帯を気にしていた俺の名前を呼ぶ滑らかな声に、ピクリと指が動いた。
おしゃれで落ち着いた服屋の一角。
目の前にはミルクティー色の長い髪を綺麗にまいた、目の大きな女の人が立っている。
「……なにもないけど?」
「もしかして予定でもあった?それならわたし、どこかで時間を潰しておくけど」
俺の変化をちっとも気にする様子はなく、そう言いながら掛けられている服を眺めている。
この人は本当に、俺に興味がない。