隣の悪魔はご機嫌ナナメ



青久side



「ねえ、どうしたの?」



携帯を気にしていた俺の名前を呼ぶ滑らかな声に、ピクリと指が動いた。



おしゃれで落ち着いた服屋の一角。



目の前にはミルクティー色の長い髪を綺麗にまいた、目の大きな女の人が立っている。



「……なにもないけど?」




「もしかして予定でもあった?それならわたし、どこかで時間を潰しておくけど」



俺の変化をちっとも気にする様子はなく、そう言いながら掛けられている服を眺めている。



この人は本当に、俺に興味がない。




< 206 / 302 >

この作品をシェア

pagetop