隣の悪魔はご機嫌ナナメ



ーーーだろうと思った。



物静かで、活発なイメージが全く湧かないからな、音には。



これで好きだと言われても、疑ってしまうよ。



「まさか行ったことないとかじゃないよな?」



「ないわ。一度も」



きっぱりとそう言い切る音の言葉。



俺には、そんなものには興味がないと言っているように聞こえた。



「その子は好きなの?」



不意にそう言われ、俺は反射的に音を見た。




「えっ……?」



音の視線が、ゆっくりと俺に向いた。



「その子とはよく行ってたんだ?」



< 208 / 302 >

この作品をシェア

pagetop