隣の悪魔はご機嫌ナナメ
綺麗な長い髪……あれは……。
「……音、さん……?」
思わず声をかけてしまってハッとしたけど、もう遅い。
ゆっくりと、音さんが振り返った。
その姿さえ美しいと思った。
「……あら、あなた」
「お久しぶりです……」
声をかけてはみたものの、何も話すことがないことに後になって気づく。
ああ……あたしって本当にばかだ。
「はるさん……だったわよね?どうしてここに?」
「えっ……あ、この近くに用事があって」
なんてものはないんだけど。
ちょっと苦しい言い訳だったかな……?