隣の悪魔はご機嫌ナナメ



もう想うのを辞めるから。
だからあたしを振ってーーー……。



そう言う前に、温もりがあたしを包む。



大好きな香りが鼻をくすぐった。



え……。


ーーあたし、青久に抱きしめられてる?



「あお、く……?」



「ごめんな、はる」



「どうして青久が謝るの」



青久の声が震えている。



泣いてる?
泣きたいのは、あたしのほうなのに。



「全部、俺が悪いんだ」



「え?」



「はるは悪くない」



< 65 / 302 >

この作品をシェア

pagetop