明日の君は笑う
「…遊馬に隠し事なんてできないな」
「あたりまえじゃねえの」
紙を見ながら,くすくすと笑う遊馬。
そこには幼い女の子の写真と。
「椿奈々穂【ツバキナナホ】ね。まさか椿財閥のお嬢様とは」
「やっぱり椿財閥か」
「まあ,達矢を苦しめたセキュリティのロックの仕方からして,そうだろうけどね」
「そうだな」
俺が調べれば,一瞬で出てくるはずの個人情報。
なのに奈々穂のだけ時間が掛かった。
ロック解除の仕方があまりにも複雑すぎて,途中投げ出そうかと思ったほど。
「でも,これは本物だよね?」