明日の君は笑う
「寝顔に落書き」
奈々穂side
「では,ここの公式を用いて求めてみてー。じゃあ,加賀さん」
「はい。2x3−50x=2x(x2−25)=2x(x+5)(x−5)です」
「さすがね。正解」
数学の時間。
比較的得意な因数分解。
なんとか答えられたものの,頭にあるのは今朝のこと。
『やっぱ噂以上にかわいいな!』
考えるのはよそう。
あの馬鹿っぽい笑顔が浮かんで,不覚にもドキドキしてしまう。
「加賀っちー」
「…」
「加賀っちってばー。無視いつまでしてんのー?」
「…授業に集中して」
「だって分かんない」
「だったら真面目に…っ」