明日の君は笑う
「貴方たち,さっきから呼んでるのに無視とはいい度胸ね」
私たちを睨むのは,音楽担当の先生。
音楽の先生は厳しいことで有名。
何でこんなことを考えてたんだろ,私。
こうなることは分かってたのに。
失敗した。
「まー,いーじゃないっすかセンセー」
先生に言葉を発したのは。
「…神田君は黙ってなさい」
「でもさーちょっと聞いてなかっただけじゃんー。無視するような人じゃないっしょ?加賀ちゃんはー」
「まあ,そうだけど…」
「だったらいーでしょー。それより俺,早く合唱したいー」
早くー早くー,と椅子をガタガタ揺らす神田君。
神田君も同じクラスと知ったのは今日。