明日の君は笑う
ほら。
加賀ちゃんが無視したりするような子じゃないって一番分かってんのは,一番厳しいこのセンセー。
だから,そういうこと言うと,こうなるってわけさ。
「だったらいーでしょー。それより俺,早く合唱したいー」
ガタガタと椅子を揺らしながら訴えると,センセーは,はあっとため息をついて前に戻って指示を出した。
「神田君,ありがと」
俺が移動しようとすると,加賀ちゃんがお礼を言ってきた。
神田君,かー。堅苦しいなー。
「いいえー!双葉でいいよー!」
「分かった」
俺が笑うと,加賀ちゃんも笑顔を見せた。
そういえば,加賀ちゃんの笑顔初めてみた気がするなー。