明日の君は笑う
「実際に見たほうが確かめやすいよ!」
佐々木君は,まだ少し濡れている手を私の頭に乗せて。
「やっぱ,噂以上にかわいいな!」
そう言った佐々木君はニカッと笑った。
『奈々はかわいいよ』
「…っ,別に!」
ばっと佐々木君の手を振り払う。
動悸がうるさい。
何で今頃になってでてくんのよ。
「そ,そのままじゃ風邪引くから,これ!」
「え?」
「じゃっ」
佐々木君にスクバの中に入っていたタオルを渡す。
…心拍数が上がったのは,きっと気のせいだ。
これが君って言う人を知った日だった。