好きになったのがたまたま幼なじみだっただけ
自宅の窓からコウちゃんが大学から帰ってくるのを待つ。
「コウちゃん!お部屋にお邪魔してもいいー?」
「チッ、またお前かよ。邪魔ってわかってるなら家に帰れ」
ストレートに拒否されてしまった。
しかしスーパーポジティブ思考な私は“親しい仲”だからオブラートに包むことなく言ってくれたと頭の中で変換する。
「まあまあ、いつものことじゃん!ってことでお邪魔しまーす!」
「っちょ…お前」
私の行く手を阻もうとしたコウちゃんをひらりとかわし、太田家に入る。
「金沢でーす!お邪魔しますっ」
コウちゃんママに気づいてもらえるように大きな声で挨拶をする。
「ったく、しょーがねーな」
後ろからコウちゃんのあきらめの声が聞こえた。