好きになったのがたまたま幼なじみだっただけ


車は、私の家がある方へ向かう。


運転席でかっこよくハンドルを握るコウちゃんを私は助手席から見つめる。


するとコウちゃんは私の視線に気づいた。




「お前さ、俺のこと好きなのか?」




「そうですけど何か?」






コウちゃんの私の気持ちを考えていないような無神経な一言に腹が立ち、返答が乱暴になる。




「もしかして、“約束”まだ信じてるのか?」




「当たり前じゃん。私がコウちゃんを想わない日はなかったよ?」




「まだ、あの“約束”って有効?」




「“約束”って…?」




「ええーっと、アレだよ。ちっちゃい頃に“結婚する”とかいうやつ!」




コウちゃんは照れたように頭をガシガシと掻いた。


覚えていてくれたんだね。




「…ただの口約束だし、何年も前の話だし、無効でいいんじゃない?」




車が赤信号で止まった。




「…じゃあ、約束しとく?」




「は?……んっ」




コウちゃんにキスされた。
一瞬だけ唇に。


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