好きになったのがたまたま幼なじみだっただけ
そんなあたしには、夢がない。
うーん。
こう言ってしまうと何か違う気がするなあ。
ダイスケの夢があたしの夢だから、ないことはない。
だけど、具体的な将来の夢とかそういうのがあたしにはないんだ。
こんなことを言っておきながら、自分のことで精一杯なあたしは周りに気を配れる訳がなくサッカー部のマネージャーにもなれず、言葉通り本当にダイスケを陰から見守るだけなのだ。
といっても、あたしにも打ち込めるものはあるのだ。
中学時代から始めた陸上競技だ。
こう見えてあたしは短距離専門。
風を切るのが楽しくて仕方がないんだ。
ダイスケがサッカーで今通うM高校に入ったようにあたしも陸上で入った。
運動部が盛んなM高校にあたしが入れたのは奇跡に近いことなのだ。
一応、中学時代はまあまあな成績を残してこれたが、高校に入ってからはイマイチで。
3年生の今年もインターハイはおろか、地区大会優勝も厳しいだろう。
大学で陸上を続けるか、実はまだ迷っている。
この成績で推薦を取れるのか…。