好きになったのがたまたま幼なじみだっただけ
「なつめはやっぱり速いね!」
「あは、でしょでしょ?」
同じ学年の部員に声を掛けられた。
そう、最近のあたしと言えば、走りの調子がとても良い。
それもダイスケと距離をとり始めてから。
今までは近くにいすぎて告白もアタックも何もできない自分にモヤモヤ、イライラしていた。
けれど今はもう吹っ切れたからか、ダイスケのことを考えることもほぼなくなり走りに専念できているのだ。
何も言わずに1人で登校したからあの後ダイスケには色々聞かれた。
けどあたしはいつかのダイスケみたいに適当にごまかした。
タイムもみるみる良くなっていって、実はインターハイの切符を手に入れてしまった。
部員も顧問も、もちろん…ダイスケも……びっくりだ。
そして季節はもう夏。
あと数日で夢のインターハイだ。