齧り付いて、内出血

『久世…』

「んー?」

『っ…。』


‘私の誕生日覚えててくれたの?’

喉まででかかった言葉はついに音にはならなかった。

こんな女々しくて重たい言葉、言いたくない。


『おめでとうって言うならプレゼントちょうだい。』

「生意気。」

そう言いながらも久世はいつものにやりとした意地悪な笑みを浮かべてる。


『欲しい。』

「あーはいはい。」


ベッドに横になって右腕をだらりと投げ出す。


『あり、がと。』


言葉が、あの言葉がなにより嬉しかったのに、お礼言えたのがよりによってこのタイミング。

久世の手は大好きだけど、欲しいのはそれだけじゃないのに。

心なんて望まないから、ただ普通の会話がしたいだけなのに!

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