齧り付いて、内出血
『あっ…!』
両手で頬を優しく包み込まれて、上を向かされる。
久世は珍しく困ったように笑ってた。
薄茶の瞳はどこまでも落ち着いていて、「どうしたんだよ」って、いつになく優しい声音で囁きかけてくる。
『く、ぜ…。』
「ん?」
ああ。
わかった――嫉妬だ。私は‘岡部さん’に嫉妬してるんだ。
『ど、して…?』
「ん?」
だめ、だめだめだめ。絶対だめ。
お願いだから黙ってよ私!
理性の私はどこにいったのよ!
駄目だよ、こんなこと言ったら。
久世は何も間違っていないのだから。
責めるようなこと言ったら、私の気持ちを暴露するようなものだ。
久世は気を遣わなきゃいけない面倒な女なんかいらないってさっき言ってたでしょ?
でも、わかってるのに、苦しくてとても耐えられそうにない。