齧り付いて、内出血
『久世ー』
「ん。」
『久世ってモノクロだよね。』
「んー…」
『だよ。』
「俺には頼がそう見えるけど。」
さらっとそういうことを言う。
これってどうなんだろう。
モノクロな女ってなんか…
『かわいくない。』
「なんだおまえ、可愛くなりたかったのか。」
…死ね。
『別に、そんなんじゃない。』
「あ、そ。」
おいでと言った割には抱きしめたりしてこないあたりこの男らしい。
ソファの背もたれに肘をかけて、相変わらずだらりと脱力している。
すると、
脱力男は急に顔を近づけてきて、唇が触れるか否かのところで焦らすように停止した。
驚いたけれど、声一つ出ず、表情ひとつ変わらない私はお母さんのお腹の中に可愛げというものを置いてきてしまったのかもしれない。