齧り付いて、内出血
いくら人通りの少ない細い路地だからって、ここは外なのに。
それ以前に、こうやって久世を咎める権利だってないのに。
だって私たちは恋人じゃない。
いくら身体を繋げても、この人は私のことなんか見てくれない。
『だ、だって…ずるい。私はからだを許しても何ももらえないのに、何もしてないのに久世に優しくしてもらえるなんてずるい!』
言うだけ惨めになるだけなのに、我慢し続けてきた思いはなかなか止まらない。
私は大人っぽくなんかないよ、道端で駄々をこねる子供だ。
「そういうのって、交換するようなものでもないだろ。」
『…。』
頭にくるほど正論だ。
おかしいのは、私。
久世は社会人として、セフレとして、何も間違っていない。