齧り付いて、内出血
久世が私に触れたのは、私が愛を求めなかったから。
関係を持ったのはタイミングが良かったから、なんて、今の今まで思い込んでいた自分に笑いがこみあげてくる。
だって考えれば考えるほど、久世は私のタイプだったから。
だから私は初めての相手にまぎれもなく久世を選んだんだ。
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教授のおかげでコンビニの常連さんと正式に知り合って数日後、大学の敷地内を歩いているとばったりと彼に遭遇した。
細身のスーツをばしっと着こなして、長い足でふらふら歩く様はどう頑張っても目立つ。
「あー、頼ちゃん。だっけ。」
『はい。』
変わった人だな、とは思っていたけど、やっぱり変な人だ。
名前うろ覚えってだいぶ失礼なことなのに、この人だと妙に納得できるような、そっちのほうが自然だから許されるような感じがする。