齧り付いて、内出血
夜中になると、いつもそうしてしまう。
夜中だけ、私は久世を引き摺っていた。
今日は拾い上げたところでちょうどインターホンが鳴った。
え?
…こんな時間に来るのってもしかして。
犯罪者か、このくたびれたスウェットの主か、の二択だ。
おそるおそる玄関に忍び寄って、ドアの穴を覗いたところで危うく息がつまりそうになった。
――久世がいる。
飄々と、相変わらずな感じで立ってる。
ドアを開けようか開けまいかで葛藤していると、突如視界が真っ暗になった。
…指でふさがれた!
この男、私がドアをはさんだところにいることをちゃんと気づいてるらしい。
気づかれてるなら仕方ない。
私はおずおずとドアを開けた。