齧り付いて、内出血

「よ。」

『…よ。』


会ってないのはせいぜい2週間くらい。

だけど本人を目の前にしたらもっと膨大な月日を会っていないかのように思えてくる。

むしろこの人に触れないで過ごせたことが不思議なくらいだ。


今回は本当にもう会えないと思ってた。

私の気持ちを暴露したようなものだったし、本物の別れだと思ってた。

わざわざ会いに来たってことは…期待して、いいのかな。


いけないと思いつつ、期待してしまう。


「それ、まだあったんだー。」


それ?

久世の視線の先を辿ると、私の手。

ああっ!
拾ったスウェット握りしめたままだった!


「怒って捨てたかと思った。」


にやり、お得意の意地悪そうな笑み。

久しぶりのそれに、ぶるりとからだが震えた。

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