齧り付いて、内出血

私に片手を貸してくれるから、もう片方の手だけでやる久世の前戯は自然と長め。

甘くて濃密な時間が好きだった。


だけど今日は、違う。


『も、やっ…ああ』

「俺も男だから、ヤらないと溜まるの。」


溜まるから? だから?

だからこんなことするんだ。

初めて久世を本気で怖いと思った。

押さえつけてくる力が強くて、どんなに精一杯押し返してもびくともしない。

これが、男の人。


『やだ、やだ、やだ…こんなの違う!』

久世は、絶対に力で女の人を押さえつけたりしない人だ。


「じゃあ、何がいいんだよ。」


暴れる私の両手首をシーツに縫い付けるように掴んで。

私を見下ろす久世は、見たことないような顔をしていた。

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