齧り付いて、内出血
絶対泣いてなんかやらない、負けたくない、この人に。
だから渾身の力を込めて久世を睨み付けた。
「お前が欲しいもの、これじゃねえのかよ。」
いらないよ、中身のない言葉なんて。
私の欲しいものは‘言葉’じゃなくて‘気持ち’なんだから。
『いらない。頭良いくせに、そんなこともわからないの?』
「何が。」
『そういうのいらないって言ってる。』
「意味、わかんねえ。」
『二度としないで。』
男が女を無理やり押し倒す――そんな切迫した状況で私たちは滑稽なくらい冷静に会話をしてる。
本当、滑稽。
あの日、久世は私の気持ちを知って‘これがお前の望んだ関係だ’と釘をさした。
それは正しい。
だけど心にもない‘好き’をぶつけて納得させようなんて、私はそんなに甘い女じゃない。
舐めないで、私を。