齧り付いて、内出血

噛んで、吸い付いて。

手を私の好きにさせたまま久世は事を進めていく。


私は歯を食いしばる代わりに久世の手にひたすら齧り付いた。


走る痛みに、時折息を吐くような声を洩らしながら久世の裸の肩がびくりと反応する。

なんて、痛々しくて扇情的。


これは、男も女もお互いのつくりだす痛みに耐えながら進む情事だ。


この人はなんでこんなことをしてるんだろう。

やめてしまえばいいのに。






果てて、脱力した久世のからだが私の上に倒れこんでくる。

ずしりとした重み、愛しい重さ。

汗で湿った肌が重なる快感。


「頼、いてえよ…」


すっかりふやけた手を動かしながら、耳元で囁かれ、とんでもなく色っぽい声が鼓膜に直に響いた。

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