齧り付いて、内出血

『く、ぜ…っ。』

「あ、それ可愛い。」


なんでそんなに余裕なんだろ。

久世のペースで進んでるから、かな。


『…くぜっ……、』


可愛いと言われたから呼んだんじゃない。

断じて違う。

けど、この私に‘可愛い’なんて形容詞を使うのはこの男だけ。

深い意味なんてないのだろうけど、ひとりくらい言ってくれないとただでさえ絶滅危惧の可愛さが、マイナスまでいってしまいそう。

そんな甘い刺激を与えてくれるのがこの男。


「いい?」

『もう手、服の中に入ってきてるくせに。』

「煩い。」


服の中で冷たい手が動くたびにぶるりとからだが震えてしまう。

それを見てか、久世はクックッと静かに笑ってる。

< 6 / 91 >

この作品をシェア

pagetop