齧り付いて、内出血
ん?
胸に手が置かれた、かと思いきや顎のあたりにポタリと雫がひとつ垂れてきた。
まさかと思って目を開ける。
「…頼。」
やられた。
俺のからだを跨いで四つん這いになったまま、してやったりな顔。
ああ、やられた。
そのまま顔が近づいてきて、生温かい水が口の中に侵入してくる。
俺の人生で最も卑猥な水分補給が始まった。
飲み切れない水が唇の端から流れてベッドにしみこんでいく。勿体ねえ。
「頼、お前怖すぎ。」
『いつも久世は好き放題してるんだから。たまにはね。』
どうだ、私の気持ちがわかったか!と、腹辺りに馬乗りになったまま頼が言った。
「うん、頼の気持ちはわかった。だから俺の気持ちもわかって。」
『わ!?』
一回腰を突き上げた。
すべてを悟ったらしい頼が、珍しく慌てた表情をする。
――さて、もう一回いっときますか。
~幕間・水分補給【完】~