リミットボイス
声が見える少女
私の名前は文月詩歌(ふみつきしいか)。十七才。ごく普通の私立高校に通う、女子高生だ。

ただ、私には一般人とは違う点が一つだけある。

声が見える。

「おはよう」

私は教室に入った。蝉の声がうるさい。さすがに蝉の声は見えないのでただ、うるさいだけだ。

声にはもちろん個性がある。高い声、低い声、かすれた声に綺麗な声。私が見えるのは、その声によってその人の周りにモヤモヤしたものが見える。色もついていて、人によって違う。

例えば、可愛い声を持つ松江さんの声は薄いピンク、少しかすれた声を持つ武山の声は濃い緑...と色々だ。
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