リミットボイス
昼休み。麻友は先生に呼び出され、私は机で麻友の帰りを待っていた。私は特別仲のいい友達は麻友しかいない。

「遅いなぁ」

お腹の虫が抗議を始めた。もし、この抗議も色が見えたら何色だろう。そう考えると面白い。

「文月」

不意に名前を呼ばれ、私は顔を上げた。鈴原水樹が立っていた。何だろう。

「何?」

「今大丈夫?」

私は頷いた。もしかしたら、これが初めてこの人と会話を交わした時かもしれない。


私は廊下に呼び出された。鈴原水樹は早口で言った。

「お前さ、いつも人のどこ見てるの?」

何故かドキッとした。突然何を言い出すんだろう。
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