リミットボイス
「何が言いたいの?」

鈴原水樹はフーッと息を吐いて、目を閉じた。まるで秘密の話をするみたいに。

「お前、トーンが見えてるんだろ」

私は鈴原水樹をじっと見つめた。トーン?何それ?この人は何を言ってるんだろう。

それ、何?って聞こうとした時。

「詩歌~!」

向かい側の階段から麻友が顔を出した。足早に向かってくる。

「麻友...」

「ごめんごめん、遅くなって!」

麻友は私を見てから鈴原水樹を見た。

「...もしかして邪魔した?」
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