苦恋症候群
バッと、声が聞こえた背後を振り返る。
そこにいた人物を確認した瞬間、自然と顔が不機嫌に歪んでしまった。
「うわ、すっごい嫌そうな顔してくれますね」
「……三木くん。いつからそこにいたの」
「『森下さんは今付き合ってる人いないんですね』のあたりから」
「それ、ほぼ最初からじゃない……」
がっくりうなだれる私に、ATMの側面に寄りかかっていた三木くんが身体を起こして近づいてくる。
雨の音と葉月さんに気を取られてて、三木くんが自動ドア通ってきてたの全然気づかなかった。ていうか、わざと気配消してたなコノヤロウ。
うらみがましくジト目を向ける私に対し、三木くんはどこか楽しげに口角を上げた。
「すっげー、女の戦い。勉強になります」
「何の勉強よ。というか、葉月さんがきみのことすきすぎる点については驚いてないのね」
「葉月、いいコなんですよ。あんまりいじめないでやってください」
言いながら少しだけネクタイを緩める彼に、ますます私の表情は険しくなっていく。
そこにいた人物を確認した瞬間、自然と顔が不機嫌に歪んでしまった。
「うわ、すっごい嫌そうな顔してくれますね」
「……三木くん。いつからそこにいたの」
「『森下さんは今付き合ってる人いないんですね』のあたりから」
「それ、ほぼ最初からじゃない……」
がっくりうなだれる私に、ATMの側面に寄りかかっていた三木くんが身体を起こして近づいてくる。
雨の音と葉月さんに気を取られてて、三木くんが自動ドア通ってきてたの全然気づかなかった。ていうか、わざと気配消してたなコノヤロウ。
うらみがましくジト目を向ける私に対し、三木くんはどこか楽しげに口角を上げた。
「すっげー、女の戦い。勉強になります」
「何の勉強よ。というか、葉月さんがきみのことすきすぎる点については驚いてないのね」
「葉月、いいコなんですよ。あんまりいじめないでやってください」
言いながら少しだけネクタイを緩める彼に、ますます私の表情は険しくなっていく。