苦恋症候群
うんざりした様子で空を見上げる三木くんが、うんざりした様子で口を開く。
「どうしたもんですかね、この雨」
「え。三木くんも傘ないの? というか三木くんマイカー通勤じゃないの?」
「永田支店にいたときはそうでしたけど。こっち移ってからは、駅近いし道路混むんで電車です」
「へぇ」
中身は最低だとわかっているけど、雨を眺める少し気だるげなその横顔は悪くないと、無意識に思ってしまう。
すると不意に三木くんが、こちらを向くから。
思わずどきりと、心臓がはねた。
「どうします、森下さん。ホテルで休憩でもしますか」
「……今手元に500円硬貨がみっちり入った麻袋があったら間違いなくそれでぶん殴ってたわ」
「それは命拾いしました」
やっぱり真顔でそう返す彼に、私は脱力してため息。
冗談を言うにしても、もっとそれっぽくにこやかな表情をしとけと言いたい。……いや、それはそれでこわいだけか。
「どうしたもんですかね、この雨」
「え。三木くんも傘ないの? というか三木くんマイカー通勤じゃないの?」
「永田支店にいたときはそうでしたけど。こっち移ってからは、駅近いし道路混むんで電車です」
「へぇ」
中身は最低だとわかっているけど、雨を眺める少し気だるげなその横顔は悪くないと、無意識に思ってしまう。
すると不意に三木くんが、こちらを向くから。
思わずどきりと、心臓がはねた。
「どうします、森下さん。ホテルで休憩でもしますか」
「……今手元に500円硬貨がみっちり入った麻袋があったら間違いなくそれでぶん殴ってたわ」
「それは命拾いしました」
やっぱり真顔でそう返す彼に、私は脱力してため息。
冗談を言うにしても、もっとそれっぽくにこやかな表情をしとけと言いたい。……いや、それはそれでこわいだけか。