苦恋症候群
「おい、待てよ三木!」
この角を曲がれば屋上に続く階段、というところで、ほとんど怒鳴るように俺を呼び止めたのは、同じ審査部の加山主任だった。
加山主任は俺より5歳年上で、半年ほど前に信用金庫よりもさらにデカイ機関からウチに転職してきた人だ。
よっぽど自分のスキルに自信があるのか、何かと上から目線で物を言ってくる面倒くさい人。
俺はしぶしぶ、だけどもそれを表には出さないように、半分だけ加山主任を振り向いた。
「なんですか、加山主任」
「それはこっちのセリフだよ。なんなんだよ、さっきのは!」
神経質そうにメガネを押し上げる目の前の人物が言わんとしていることがわからず、「さっきの?」とまた聞き返す。
イライラと、加山主任が1歩こちらに詰め寄ってきた。
「とぼけんなよ! さっきの稟議書、俺は否決にするべきだって言っただろ!」
「……ああ」
ようやく思い当たって、思わず声を漏らす。
そこで初めて、身体ごと主任に向き直った。
この角を曲がれば屋上に続く階段、というところで、ほとんど怒鳴るように俺を呼び止めたのは、同じ審査部の加山主任だった。
加山主任は俺より5歳年上で、半年ほど前に信用金庫よりもさらにデカイ機関からウチに転職してきた人だ。
よっぽど自分のスキルに自信があるのか、何かと上から目線で物を言ってくる面倒くさい人。
俺はしぶしぶ、だけどもそれを表には出さないように、半分だけ加山主任を振り向いた。
「なんですか、加山主任」
「それはこっちのセリフだよ。なんなんだよ、さっきのは!」
神経質そうにメガネを押し上げる目の前の人物が言わんとしていることがわからず、「さっきの?」とまた聞き返す。
イライラと、加山主任が1歩こちらに詰め寄ってきた。
「とぼけんなよ! さっきの稟議書、俺は否決にするべきだって言っただろ!」
「……ああ」
ようやく思い当たって、思わず声を漏らす。
そこで初めて、身体ごと主任に向き直った。