苦恋症候群
「だいたいな、今までずっとおまえにはムカついてたんだよ!! いつも無表情で感情がなくて、そのくせ部長からは目をかけてもらってて!!」

「……はあ」

「ちょっと顔がいいからって、女子にちやほやされやがって……っ!! 営業店にいた頃はエースだなんだ言われてたらしいけど、ここではそんなの通用しないからな!! 俺が、潰してやる!!」



ああ、今。

イライラのメーターが、振り切れた。

営業店で融資窓口にいたときはどんなに態度が悪い相手でも、それが客だと思えば納得できたし、腹も立たなかった。

けど、なんだこれ。一緒に仕事する同僚にこんなモンスター、いらねぇだろ。


目の前の宇宙人が胸くそ悪すぎて、逆に笑えてきた。

よっぽど冷たく笑っていたのか、一瞬宇宙人がびくりと動きを止める。

口元にその冷たい笑みを貼り付けたまま、俺は自分より低い位置にあるその顔を、逃がさないようにまっすぐ見据えた。
< 135 / 355 >

この作品をシェア

pagetop