苦恋症候群
葉月さんと私が来たのは、会社近くのカフェだ。

彼女の、うつむきがちでなんだか思い詰めているような様子が少し気になる。

私の分の代金を払う、という葉月さんの申し出はやんわり断り、注文を済ませ、商品を持ってテーブルについた。



「……あの」



私の前にカフェオレ、葉月さんの前にはキャラメルマキアート。

椅子に腰を落ちつかせたところで、彼女がためらいがちに口を開いた。



「あの……こないだは、すみませんでした」

「え」



ぺこ、と頭を下げながらの思いがけないセリフに、思わず目を見開いた。

……てっきり私は、また三木くんの件で呼び出されたんだと思っていた。

その形のいいくちびるから、以前のように私を責める言葉が飛び出すんじゃないかと身構えていたのに。

歯切れ悪く、彼女は続ける。
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