苦恋症候群
「葉月さんは、三木くんと同期なんだよね?」

「はい。あたしは短大卒なので、歳は2個下なんですけど」



言いながらうなずいた葉月さんは、さっきまでより緊張を解いてくれたようだ。


三木くんの2歳下ということは、私と比べると4歳下か。

まだ25歳。そりゃあ、恋愛に対する勢いも違うよなあ……。



「そっかあ。若いっていいな~」

「森下さんこそ、実年齢より若く見えてうらやましいです」

「……それ、三木くんにも同じようなこと言われた。無表情で『童顔ですよね』って、ひどくない?」



大げさに三木くんの似てないモノマネをしながら話したら、葉月さんが口もとに片手をあててくすくす笑った。

……一緒にいるときに、このコの笑った顔、初めて見たよ。


うーん、改めて見ると、やっぱり。



「かわいいよねぇ、葉月さんって」

「え?! そ、そんなことないです……」



しみじみつぶやいた私の言葉に、ぽっと頬を赤くしながらぶんぶんと両手を振った。

そんな葉月さんの反応に、こちらは思わずきょとんと目をまたたかせる。
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