苦恋症候群
なに、この反応。ますますかわいい。

こういうコって、『かわいい』とか言われ慣れてると思ってたんだけどなあ……葉月さんって、すっごい純情なのかも。



「男性職員たちが葉月さんのこと『イイ』って言うの、すごくわかるわあ」

「な、なに言ってるんですか……」



真っ赤な顔で、もじもじ膝の上の手を動かす葉月さん。

思わずまた「かわいい」ってセリフが出そうになったけど、これ以上困らせるのもかわいそうだからやめておいた。私、まるでおっさんじゃん……。


まだほんのり上気した頬で、こくりとキャラメルマキアートを飲み込んだ彼女が口を開いた。



「あたし、中学から短大まで、ずっと女子校で。全然、男の人と関わる機会がなかったんです」

「え、そうなんだ」

「はい。だから、入庫していきなり異性の同期ができたのも、結構戸惑って……今はまあ、同期以外の男の人も普通に接してますけど」

「葉月さんの年代って、同期何人いるの?」

「あたしも含めて、7人です。他の年代と比べたら少ないからか、男女関係なくみんなすごく仲良しで」
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