苦恋症候群
「い、いいよっ!! 三木くん先に帰りなよっ!!」

「駄々こねないでください。ほら」

「うわあああ」



ぐいぐい両腕を掴まれ、結局無理やりその首に手を回された。

彼はついでに私の腰を引き寄せてから、軽々と立ち上がる。



「森下さん、落ちないでくださいよ」

「ううう~……」



私をおんぶしたまま、器用に人混みをすり抜けて歩いていく三木くん。

すれ違う人がちらちらこっちを見てるのがわかって、どんどん顔が熱くなってくる。



「おっ、おろして三木くんー! おろしてー!」

「ちょっ、動かないでください」

「恥ずかしいよー! 自分で歩いて帰るからおろしてー!」

「だから動くなって!!」



この状況が恥ずかしくて堪らない私と、その私を宥めようとする三木くんの攻防が続く。

そんな感じで、しばらく問答を繰り返していたら。
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