苦恋症候群
「ああもう!! うるさいな!!」
キレたようにそう叫んだと思ったら、三木くんはお好み焼き屋さんの前ですとんと私を下ろした。
それからびっくりして固まっていた私に「ここから動かないでくださいよ!」と強い口調で言い置いて、どこかに消えてしまう。
そして、お好み焼き屋さんのご主人から向けられる好奇の視線に耐えながら、おとなしく待っていた2分後。
「ほら、これで文句ないでしょう!」
言いながら目の前に掲げられたのは、露店で買ってきたと思われるうさぎのお面。
全体はピンク色で、まるい瞳が大きく、ペロリとお茶目に舌を出している。
それを有無をいわさず顔につけられて、再び私は彼の背中におぶられた。
「み、三木くん」
「なんですか。言っときますけど、顔出てる俺の方が恥ずかしいんですからね」
なんなんだろう、この状況。
私はなぜかうさぎのお面をかぶっていて、いい歳して年下の男の人におんぶされていて。
三木くんの言葉は、相変わらずぶっきらぼうで、そっけない。
……だけど、彼は決して私を背中から落としたりしない。
こんな子ども向けのもの買うのだって、恥ずかしかったはずなのに……わざわざ、お面まで買いに行ってくれた。
キレたようにそう叫んだと思ったら、三木くんはお好み焼き屋さんの前ですとんと私を下ろした。
それからびっくりして固まっていた私に「ここから動かないでくださいよ!」と強い口調で言い置いて、どこかに消えてしまう。
そして、お好み焼き屋さんのご主人から向けられる好奇の視線に耐えながら、おとなしく待っていた2分後。
「ほら、これで文句ないでしょう!」
言いながら目の前に掲げられたのは、露店で買ってきたと思われるうさぎのお面。
全体はピンク色で、まるい瞳が大きく、ペロリとお茶目に舌を出している。
それを有無をいわさず顔につけられて、再び私は彼の背中におぶられた。
「み、三木くん」
「なんですか。言っときますけど、顔出てる俺の方が恥ずかしいんですからね」
なんなんだろう、この状況。
私はなぜかうさぎのお面をかぶっていて、いい歳して年下の男の人におんぶされていて。
三木くんの言葉は、相変わらずぶっきらぼうで、そっけない。
……だけど、彼は決して私を背中から落としたりしない。
こんな子ども向けのもの買うのだって、恥ずかしかったはずなのに……わざわざ、お面まで買いに行ってくれた。