苦恋症候群
いい大人がうさぎのお面をかぶっておぶられているなんて、きっと見た目は相当シュールだ。
さっきまでとはまた違った意味でまわりから視線を向けられてるって、わかってるけど。
だけどそれも、気にならなくなる。
……ああ、このひとって。
このひと、って──。
「っわ、」
そのときちょうど、どこからか大きな音が聞こえた。
直後に一瞬あたりが明るくなって、周りにいる人たちから歓声があがる。
「ああ、花火、始まったみたいですね」
「……麻智と文哉さん、どっかで見てるのかな」
「武藤さん、おとなしく花火見てますかね」
「あはは。なにそれ、どういう意味ー」
くすくす笑う私に、三木くんは「いかがわしい感じの意味です」なんて、やっぱり淡々とした口調で話す。
「ふふ。まあだって、麻智はかわいいからねー」
珍しく私もノッてみたら、なぜか彼はそこで口をつぐんだ。
不思議に思って、後ろから三木くんの顔をうかがうように首を傾ける。
「? 三木く──」
「……そういえば、言い忘れてましたけど。あの男が言ったから、言うわけじゃないですけど」
「え」
「その浴衣、似合ってます」
さっきまでとはまた違った意味でまわりから視線を向けられてるって、わかってるけど。
だけどそれも、気にならなくなる。
……ああ、このひとって。
このひと、って──。
「っわ、」
そのときちょうど、どこからか大きな音が聞こえた。
直後に一瞬あたりが明るくなって、周りにいる人たちから歓声があがる。
「ああ、花火、始まったみたいですね」
「……麻智と文哉さん、どっかで見てるのかな」
「武藤さん、おとなしく花火見てますかね」
「あはは。なにそれ、どういう意味ー」
くすくす笑う私に、三木くんは「いかがわしい感じの意味です」なんて、やっぱり淡々とした口調で話す。
「ふふ。まあだって、麻智はかわいいからねー」
珍しく私もノッてみたら、なぜか彼はそこで口をつぐんだ。
不思議に思って、後ろから三木くんの顔をうかがうように首を傾ける。
「? 三木く──」
「……そういえば、言い忘れてましたけど。あの男が言ったから、言うわけじゃないですけど」
「え」
「その浴衣、似合ってます」