苦恋症候群
ちなみにたった今私の肩に腕を乗せて面倒くさい絡みをしてきたのは、同期のひとりである香田保志(こうだやすし)。通称ヤス。
ヤスとは実は中学が一緒で、高校・大学とまったく接点はなかったけど、この会社に入ってから再会した。
そういう経緯もあって、他の異性の同期と比べるとだいぶ気安い仲ではあるんだけど……。
「サトさー、彼氏できた?」
「……できません」
「まだかよ。麻智も片付いちゃって、今おまえだけじゃん、同期内で恋人いないの」
耳に痛い言葉を聞きながら、私はまたお酒をひとくち。
ちなみに話の種になっている麻智は、向こう側にあるテーブルですでにつぶれている。……いや、正確にはつぶされた。悪ノリした別の同期に。
「麻智の彼氏って、かなりイケメンなんだって? さっきベロベロの麻智からみどりが聞き出してた」
「ん、イケメン。しかも不動産屋に勤めてて宅建の資格も持ってるし、将来安定」
「マジか、よくやったな麻智ー」
テーブルに突っ伏す麻智を眺めながら、感心したようにヤスが言った。
まあ、あのコは、そういう見た目とかスペックに惹かれたわけではないだろうけど。
いつだってまっすぐで一生懸命なんだ、麻智は。
だからこそ文哉さんも、あれだけ溺愛してるんだと思う。
ヤスとは実は中学が一緒で、高校・大学とまったく接点はなかったけど、この会社に入ってから再会した。
そういう経緯もあって、他の異性の同期と比べるとだいぶ気安い仲ではあるんだけど……。
「サトさー、彼氏できた?」
「……できません」
「まだかよ。麻智も片付いちゃって、今おまえだけじゃん、同期内で恋人いないの」
耳に痛い言葉を聞きながら、私はまたお酒をひとくち。
ちなみに話の種になっている麻智は、向こう側にあるテーブルですでにつぶれている。……いや、正確にはつぶされた。悪ノリした別の同期に。
「麻智の彼氏って、かなりイケメンなんだって? さっきベロベロの麻智からみどりが聞き出してた」
「ん、イケメン。しかも不動産屋に勤めてて宅建の資格も持ってるし、将来安定」
「マジか、よくやったな麻智ー」
テーブルに突っ伏す麻智を眺めながら、感心したようにヤスが言った。
まあ、あのコは、そういう見た目とかスペックに惹かれたわけではないだろうけど。
いつだってまっすぐで一生懸命なんだ、麻智は。
だからこそ文哉さんも、あれだけ溺愛してるんだと思う。