苦恋症候群
「文哉くん、もう駅着いたみたい」
「あらら。じゃあ急がなきゃねー」
彼女の言う『フミヤくん』っていうのが、麻智の彼氏さんの名前だ。
なんと、麻智がいる永田支店の取引先である不動産屋に勤めてる人。つまりウチのお客様。
文哉さんは月に何度か融資担当者への用事で支店に電話をかけてきていて、それが縁で麻智と知り合ったみたい。
「実は電話の声から惚れてました」とは、以前顔を合わせたとき、文哉さんがこっそり教えてくれたことだ。
「何時からって言ってたっけ? 物件案内してもらうの」
「3時! あーもう、時間チェックしとくのすっかり忘れてた!」
意外とおっちょこちょいなところがある麻智と、足早に駅へと向かう。
ちょうど花壇の横を通り抜けたところで、正面入口横の、レンガ造りの壁にもたれかかる人物を発見した。
「あらら。じゃあ急がなきゃねー」
彼女の言う『フミヤくん』っていうのが、麻智の彼氏さんの名前だ。
なんと、麻智がいる永田支店の取引先である不動産屋に勤めてる人。つまりウチのお客様。
文哉さんは月に何度か融資担当者への用事で支店に電話をかけてきていて、それが縁で麻智と知り合ったみたい。
「実は電話の声から惚れてました」とは、以前顔を合わせたとき、文哉さんがこっそり教えてくれたことだ。
「何時からって言ってたっけ? 物件案内してもらうの」
「3時! あーもう、時間チェックしとくのすっかり忘れてた!」
意外とおっちょこちょいなところがある麻智と、足早に駅へと向かう。
ちょうど花壇の横を通り抜けたところで、正面入口横の、レンガ造りの壁にもたれかかる人物を発見した。