苦恋症候群
ふたりは今日これから、一緒に住むための部屋探しをする。
付き合ってまだ1年も経っていないけど、今まで実家暮らしだった麻智がひとり暮らししようかなって彼に相談したら、じゃあ一緒に住もうかってあっさり言われたらしい。
文哉さんと同じ業界のツテで、いい条件で物件紹介してもらえるんだって。
「それじゃあおふたりさん、いい部屋見つかるといいね」
邪魔者はさっさと退散しよう。ひらひら右手を振った私に、ふたりが視線を向けてきた。
「あ、ありがとさとり! また同期会しようね」
「あはは、その前に4月末の宮信会で会うでしょ」
かわいいことを言ってくれる麻智に、笑って答える。
『宮信会』というのは、ウチの会社の組合のことだ。正職員からパートさんまで、全員が加入している。つまりほんとに会社の人みんな、だ。
そして毎年1回、年度初めに、昨年度今年度の予算だとか組合役員の発表だとか、その後はホテルのホール貸し切っての懇親会だとかが行われている。組合員は、基本出席が原則。
だからこの日ばかりは、普段バラバラの本支店にいて会う機会がない同僚たちと顔を合わせることができるのだ。
付き合ってまだ1年も経っていないけど、今まで実家暮らしだった麻智がひとり暮らししようかなって彼に相談したら、じゃあ一緒に住もうかってあっさり言われたらしい。
文哉さんと同じ業界のツテで、いい条件で物件紹介してもらえるんだって。
「それじゃあおふたりさん、いい部屋見つかるといいね」
邪魔者はさっさと退散しよう。ひらひら右手を振った私に、ふたりが視線を向けてきた。
「あ、ありがとさとり! また同期会しようね」
「あはは、その前に4月末の宮信会で会うでしょ」
かわいいことを言ってくれる麻智に、笑って答える。
『宮信会』というのは、ウチの会社の組合のことだ。正職員からパートさんまで、全員が加入している。つまりほんとに会社の人みんな、だ。
そして毎年1回、年度初めに、昨年度今年度の予算だとか組合役員の発表だとか、その後はホテルのホール貸し切っての懇親会だとかが行われている。組合員は、基本出席が原則。
だからこの日ばかりは、普段バラバラの本支店にいて会う機会がない同僚たちと顔を合わせることができるのだ。