苦恋症候群
え……さっき三木くん、『俺が楽しいだけ』って、言った?
何それ、どういう、意味で……。
アルコールにどっぷり浸かった頭は、普段よりも全然働いてくれない。
ぐるぐる思考がループしている間にも、三木くんの手の中で白いティッシュペーパーは形を変えていく。
なんの変哲もない四角い形だったそれは、角を折られて、くるくると丸められて、半分は細長いこよりのようにねじられて……。
「はい、どうぞ」
言いながら目の前に差し出されたものは、もう、ただのティッシュペーパーなんかじゃなかった。
少しだけ震える手で、私はそれを受け取る。
白くて、可憐ですらある、それは──。
「……バラ……?」
「新人の頃外回りしてたとき、集金先だった家のおばあちゃんに作り方教えてもらったんです。意外とよくできてるでしょ?」
そう言って三木くんは、ちょんと指先でバラの花びらに触れた。
こうやって手に持っていても、へたることなくしっかり背筋を伸ばして咲き誇っている白いバラ。
三木くんがくれた、紙の花。
今になって、かあっと頬が熱くなる。
……ああ、もう。このひとって、なんで。
身体が火照ってるのは、アルコールのせいなんかじゃない。
ドキドキうるさい心臓も、お酒を飲んだからというわけじゃない。
何それ、どういう、意味で……。
アルコールにどっぷり浸かった頭は、普段よりも全然働いてくれない。
ぐるぐる思考がループしている間にも、三木くんの手の中で白いティッシュペーパーは形を変えていく。
なんの変哲もない四角い形だったそれは、角を折られて、くるくると丸められて、半分は細長いこよりのようにねじられて……。
「はい、どうぞ」
言いながら目の前に差し出されたものは、もう、ただのティッシュペーパーなんかじゃなかった。
少しだけ震える手で、私はそれを受け取る。
白くて、可憐ですらある、それは──。
「……バラ……?」
「新人の頃外回りしてたとき、集金先だった家のおばあちゃんに作り方教えてもらったんです。意外とよくできてるでしょ?」
そう言って三木くんは、ちょんと指先でバラの花びらに触れた。
こうやって手に持っていても、へたることなくしっかり背筋を伸ばして咲き誇っている白いバラ。
三木くんがくれた、紙の花。
今になって、かあっと頬が熱くなる。
……ああ、もう。このひとって、なんで。
身体が火照ってるのは、アルコールのせいなんかじゃない。
ドキドキうるさい心臓も、お酒を飲んだからというわけじゃない。