苦恋症候群
「あ、お疲れさまです」



誰もいないだろうと踏んでいたその場所で私を出迎えたのは、先週も見た無駄に整った顔だった。

そうだ、今日まで会わなかったけど3日前から同じ本部勤めなんだった……!



「……お疲れさまです」



かなりテンションを落としながらもなんとか言葉を返し、扉を閉める。

無駄に整った顔の持ち主──三木くんは屋上をぐるりと囲むコンクリートの手すりにもたれて、タバコを吸っていた。

私は適度な距離を保ちつつ、同じように手すりのそばまで近づく。


来たとたん回れ右して帰るのも、感じ悪いもんね。

ちょこっと休憩したら、さっさと退散しよう……。


プラスチックでできた容器の横についているストローを外して、ぷすりと上から突き刺す。

ひとくち吸い上げると、お気に入りのカフェオレは、やはり今日もお気に入りの味だった。

ちょっとだけ元気が回復した私は、ちらりと、数メートル隣に立つ人物へと目を向ける。
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