苦恋症候群
「さとりはさー、いつから三木くんのことすきなのー?」
しばらくして、麻智がカラカラとグラスの氷を揺らして遊びながら上目遣いに訊ねてきた。
ちなみに葉月さんはもうすっかり潰れてしまったらしく、椅子にもたれてすぴすぴと寝息をたてている。
私はその質問に、一瞬言葉を詰まらせて。
それからパクリとひとくち、デザートの杏仁豆腐を口に入れた。
「……わかんない。自分の気持ちに気づいたのは10月だけど……もしかしたらそれよりずっと前から、すきだったのかもしれない」
「それって、花火大会のときも?」
「……わかん、ない」
花火大会のとき。三木くんとふたりでわざと麻智たちとはぐれて、なりゆきで手をつないで。
偶然元カレの迅と会って、三木くんが私をかばってその場から連れ出してくれて。
そのうえ足を痛めた私にお面をかぶせて、人混みの中おぶって運んでくれた。
どうなのかな。あのときにはもう、彼のことをすきになりかけていたのだろうか。
でもきっとあの出来事は、私の中で確実に、三木くんの存在を大きくしたと思う。
しばらくして、麻智がカラカラとグラスの氷を揺らして遊びながら上目遣いに訊ねてきた。
ちなみに葉月さんはもうすっかり潰れてしまったらしく、椅子にもたれてすぴすぴと寝息をたてている。
私はその質問に、一瞬言葉を詰まらせて。
それからパクリとひとくち、デザートの杏仁豆腐を口に入れた。
「……わかんない。自分の気持ちに気づいたのは10月だけど……もしかしたらそれよりずっと前から、すきだったのかもしれない」
「それって、花火大会のときも?」
「……わかん、ない」
花火大会のとき。三木くんとふたりでわざと麻智たちとはぐれて、なりゆきで手をつないで。
偶然元カレの迅と会って、三木くんが私をかばってその場から連れ出してくれて。
そのうえ足を痛めた私にお面をかぶせて、人混みの中おぶって運んでくれた。
どうなのかな。あのときにはもう、彼のことをすきになりかけていたのだろうか。
でもきっとあの出来事は、私の中で確実に、三木くんの存在を大きくしたと思う。