苦恋症候群
「三木くん……あの」
「……なんですか?」
話を促す彼の声音は、雪のように冷たい。
そんな三木くんの態度に、ずきりと胸が痛む。
けれどまた1歩、彼に近づく。
「……どうして、ちゃんと、振ってくれないの」
「………」
「私のこと、嫌いなら……前みたいにそう言って、キッパリ振ってくれればいいのに」
はあっと、白い吐息が風にさらわれて消える。
三木くんは、動かない。ただ、その手袋に隠れた両手を、ぎゅっと強く身体の横で握りしめている。
また、1歩。今度は、手を伸ばしたら届く距離まで近づいた。
「ねえ三木くん、どうして──」
「ッ、うるさい……!!」
冷たい空気を切り裂くその怒号に、びくっと身体が震えた。
決してこちらを振り向いてはくれないまま、彼が続ける。
「あんた、どんだけ自分のこと苛めたいんだ? わざわざ、そっちから話しかけてくるなんて」
「……三木く、」
「今さら俺の口から言わせなくても、答えはわかってんだろ。もう、俺に関わるな──」
「ッ、わかんない……!」
彼の言葉をさえぎって、私はその腕を掴んだ。
驚いたようにこちらを振り向いた三木くんと、ようやく目が合う。
涙でにじみそうになる視界で必死に目を凝らしながら、私は彼を見上げる。
「……なんですか?」
話を促す彼の声音は、雪のように冷たい。
そんな三木くんの態度に、ずきりと胸が痛む。
けれどまた1歩、彼に近づく。
「……どうして、ちゃんと、振ってくれないの」
「………」
「私のこと、嫌いなら……前みたいにそう言って、キッパリ振ってくれればいいのに」
はあっと、白い吐息が風にさらわれて消える。
三木くんは、動かない。ただ、その手袋に隠れた両手を、ぎゅっと強く身体の横で握りしめている。
また、1歩。今度は、手を伸ばしたら届く距離まで近づいた。
「ねえ三木くん、どうして──」
「ッ、うるさい……!!」
冷たい空気を切り裂くその怒号に、びくっと身体が震えた。
決してこちらを振り向いてはくれないまま、彼が続ける。
「あんた、どんだけ自分のこと苛めたいんだ? わざわざ、そっちから話しかけてくるなんて」
「……三木く、」
「今さら俺の口から言わせなくても、答えはわかってんだろ。もう、俺に関わるな──」
「ッ、わかんない……!」
彼の言葉をさえぎって、私はその腕を掴んだ。
驚いたようにこちらを振り向いた三木くんと、ようやく目が合う。
涙でにじみそうになる視界で必死に目を凝らしながら、私は彼を見上げる。