苦恋症候群
総務で書類を渡すときに少しハナさんと会話をして、また廊下に出た。

【審査部】と書かれたプレートがある部屋の前を通るとき、自然と鼓動が速くなる。


三木くん、今日ちゃんと、仕事来れたかな。

気になるけど、だからって、わざわざ審査部を覗くわけにもいかない。


……昨日、すがるように私の手を握りしめていた三木くんのぬくもりが、まだ手のひらに残っている。

あの後、泣き疲れてしまったのか、それとも今まで自分ひとりで抱え込んでいたものを吐露したことで、気が抜けてしまったのか。

三木くんは私が無理やりベッドに横にさせてすぐ、静かに寝息をたて始めた。

顔色が、あまり良くなかったから……もしかしたら最近、ちゃんと眠れていなかったのかもしれない。


そういえば私、あのとき三木くんをひっぱたいちゃったんだった。

大丈夫かな。昨日の時点ではなんともなさそうだったけど……今日になって、腫れてしまっていたりしていないだろうか。
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